Japanische Fichte-Gesellschaft
日本フィヒテ協会


日本フィヒテ協会賞


第10回日本フィヒテ協会賞】

日本フィヒテ協会第21回大会当日(2005年12月3日)、第10回フィヒテ協会賞(研究奨励賞)授賞式が挙行されました。受賞者である湯浅正彦氏に、賞状、賞金、副賞が授与されました。

――受賞対象業績――
  • 「初期フィヒテの自我論とカント--若干の準備的考察」(立正大学人文科学研究所『年報』第39号,2002年)
  • 「自我論におけるフィヒテとカント--イェーナ期フィヒテ哲学を中心として--」(日本フィヒテ協会編『フィヒテ研究』第10号,2002年)
  • 「絶対知の境位--1801/02年「知識学」への接近の試み--」(立正大学文学部『研究紀要』第20号,2004年, [第I〜VI節])
  • 「絶対知の境位(承前)1801/02年「知識学」への接近の試み」(立正大学文学部『論叢』第120号, 2004年[第V〜VIII節]
  • 「「絶対知」の絶対性について--「絶対知」の「知識学」への一視角--」(手川誠士郎,他編『知の軌跡』北樹出版,2004年〉
  • 「「集中点」としての自我--「絶対知」の知識学の自我論に関する一考察--」(哲学会編『哲学雑誌』1149巻791号,2004年)
――受賞理由――
 湯浅正彦氏は、著書『存在と自我』(2003年)に見られるようなカントの自己意識論に対する関心と研究成果から出発し、カントの統覚論からフィヒテの自我論へと関心を展開し、『新しい方法による知識学』や1801/02年「知識学」に研究を進め、近年際立って多くの論文を書かれている。湯浅氏の研究の中心は、徐々に自我の絶対性から絶対知、絶対者に移動しており、絶対知との関わりにおいて自我の構造と機能、自我と存在との連関が綿密に分析され、さらに個我と共同体との関係にも及ぶようにも見え、今後の展開が興味深い。以上のような特徴的な観点から積み重ねられた湯浅氏の研究は、我が国のフィヒテ研究に一石を投じた業績であると思われる。当選考委員会は湯浅氏の研究努力を讃え、さらに今後の研究の一層の進展を期待して、日本フィヒテ協会第十回研究奨励賞を授与することを決定した。
 2005年12月3日
 日本フィヒ協会賞選考委員会